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第3回 「真の『世界市民』を育てる」

■啓明学園の学園の理念

「広い視野のもと、豊かな人間性と独自の見識を持ち、世界を心に入れた人を育てる」 これが啓明学園の「学園の理念」です。「世界を心に入れた」真の「世界市民」を育てることを目標にしているわけですが、実際に学園ではどういうことを目指し、どういう取り組みをしているかを今回は紹介していきましょう。  

■真の「世界市民(Global Citizens)」の育成に真剣に取り組む

国際理解教育やグローバル人材の育成が今日の教育の目標の一つとして掲げられるようになってから久しいわけですが、具体的にはどういう人々のことを指しているのかということになると漠然としたイメージしかないというのが実際のところではないかと思います。みなさんはどのような人が「世界市民」であると考えるでしょうか。「多言語を自由に使いこなすことができる」「人とのコミュニケーション能力が高い」「プレゼンテーションが上手である」「論理性が高い」など様々な要素が頭に浮かぶかもしれません。これらのことは「世界市民」と呼ばれる人々が持ち合わせている重要な資質の要素の一つ一つです。そして、啓明学園ではこれらの「世界市民」が必要な重要な一つ一つの部分を訓練するために、多くの特別なプログラムを設けています。しかし、それらのことができさえすれば「世界市民」であるかどうかというと、必ずしもそれは正しくないのではないかと啓明学園では考えます。そのために、それらを包括する形での「世界市民」とはどうあるべきかということを真剣に考えているわけです。  

■であるとすれば、真の「世界市民(Global Citizens)」とは

啓明学園で考える真の「世界市民」とは世界をステージに活躍できる人々です。では、どういう人が世界をステージに活躍できるのでしょうか。多くの人達は「何かができること」つまり、「いかに発信するか」にこだわっていますが、本来の「世界市民」にとってそれ以上に重要なのは一つの物事を「どう考えられるか」「どう見られるか」という「いかに受容するか」の力なのではないかと考えます。つまり、自分の意見や考えを相手に伝える以前に、一つの物事に対して世界に生活する人々は、それぞれの立場、文化背景、主義主張によって多様な見方をし、多様な意見を持ち、多様な対処の仕方をするということを本当の意味で理解し、どれが正しくてどれが間違っているという見地でなく、「どれも正解かもしれない」と感じることができるように、自分の心と考え方、つまり「受容の力」を意識的にトレーニングするということが必要なのです。この受容の力を持っている人々が先に挙げた資質を持ってはじめて真の「世界市民」に一歩近づくと啓明学園では考えます。では、どうやって心と考え方をトレーニングするのでしょうか。  

■学園自体が世界の縮図

啓明学園には約40%の国際生が日本で生まれ育った生徒たちと共に生活をしています。様々な国籍、多様なバックグラウンドをもった生徒が一緒に生活することで、日常の生活そのものが世界の縮図となっている場面が多く存在しています。 ある日の啓明学園での生徒たちの会話の一場面:生徒たちと進路について話し合っていると、ある国から日本に来ている生徒は「先生方は自分の進路を決めるのに、自分の夢を追えと言う。そして自分の好きなことは何かと聞く。そういうことを聞くのははやめて欲しい。そういうことは今までに言われたことがないし、考えたことも無いから分からない。今までは、やらなければいけないことが決められていてそれをやっていれば良かった。将来を考えるのに自分が何をしたいかというのは関係ないと思う。親の希望とお金の多く得られる仕事に就くかといことの方が大事だと思う。」といい、それに対して日本で育った生徒は「そう言う考えもあるんだ。僕は自分の一生なのだから、自分で決めたいな。」と答えていました。 このようにひとつの事柄をとっても、今まで自分が生きてきた世界では当たり前と思っていた考えが世界の違う場所では、全く奇異な考えであることが多くあり、「異なる考えがある」と言うことを日常生活で体験し、「異なる考えでもOK」と考えるトレーニングを日々の生活の中でくり返していきます。ただ、言葉で言うほど「異なる考え方をOK」と心から思えるというのは簡単ではありません。考え方が多様化すればするほど衝突も起きてきます。そういうときに重要になってくるのは、その違いをどうやって乗り越えていくのかという方法を学んでいくことです。体験の中から和解方法や距離感を学びます。そのことを中学校・高等学校の人生の基礎となる大切な時期に学ぶということを啓明学園では大切にし、真の「世界市民」を育てる基礎としているわけです。  

■多様な帰国生、留学生

現在啓明学園に在籍している国際生は初等学校で25%,中学校で40%,高等学校で43%おり、世界の35カ国から帰国しています。また、8カ国に9校の姉妹校・交流校を持ちその学校からの留学生を含め毎年2名から5名の留学生も在籍しています。そのため、英語以外にもコリア語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の授業が用意されています。文化祭では、その日頃の学習成果を垣間見ることができます。毎年中学3年生から高校3年生の国際英語クラスによるディベート大会が行われます。今年度は「A good book is better than a good movie」というテーマで戦いが繰り広げられ、高校1年生のHonors Classチームが優勝しました。また、フランス語、中国語、コリア語、ドイツ語でのスピーチ・コンテストが同時に開催され日頃の思いを自分の得意とする言葉にのせて発表する機会を設けています。そういう中で、日本で生まれ育った生徒たちも、世界の別の場所では全く違う考え方をすることが当たり前であるということを体得していくのです。  

■世界のどこにも啓明生が

世界のどこに訪ねてもほとんどの場合行く先々で、現地で活躍している卒業生が待ち受けていてくれるのが啓明学園の大きな特徴の一つです。10月21日にタイ・バンコクにおいて海外編入学試験を行いましたが、その際にも在タイの卒業生が集まって来てくれました。その中の一人のタイの政治家になっている卒業生が「啓明学園では、言語を教わったというより、分からない言葉やできごとに出会った時に解決する方法を学んだ。それが今の自分の基礎になったと思う。」と語っていました。私たち啓明学園は真の「世界市民」をこれからも世界中に送り出したいと考えています。   >>>第4回 高等学校3年生の授業での実践