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第4回 ~高等学校3年生 授業での実践(1)~

前号では、啓明学園のグローバル人材育成の学園としての姿勢について書かせていただきました。今回は授業で行われている国際理解教育の実践について、生徒の各授業での「振り返り」も織り交ぜ、2回に渡って、具体的にご紹介していきましょう。  

■ 高3国際理解の実践 “Think Globally. Act Locally.”

国際理解の授業では、本校の学園理念である“地球市民を育てる”ために、一市民として世界で起きていることを把握し、世界の人々と共に生きるために一人ひとりが出来ることを見つけ、行動できる人を育てることを目標としています。 授業は毎回、その週にあった世界の出来事で自分が気になったニュースを担当している生徒が紹介することから始まります。担当になった生徒はNews Reporterとなり、ニュースの主なトピックを紹介し、大切だと思うポイントについて自分の考えを発表します。なぜこの出来事が起こり、人々に与える影響とはどのようなものか、どうすれば良くなるかなどを話します。その後、紹介したニュースに対して、他の生徒が質問をし、感想を述べるようになっています。ニュースの紹介の後は、ワークショップ形式で授業が行われます。毎回、4,5人で1グループになり、与えられた課題について話し合い、お互いの意見を共有し、発表します。 世界で活躍している外部講師を招いてワークショップをする時もあります。今年度実施したワークショップと生徒の感想を紹介します。  

■ 「リーダーに必要な要素とは?」

6月には、「リーダーに必要な要素とは?」をテーマにワークショップを行いました。2012年は世界各国で、大統領や首相が変わる年だったので、このテーマを一緒に考える機会にしました。この日は、来日していたアメリカ人大学生14名を授業に招き、グループに加わってもらい一緒に、特に重要だと思われるリーダーに必要な要素をリストの中から2つ選び、発表するという課題が与えられました。発表方法は、様々でスキットやポスターを作って発表したグループもいました。 「短い時間だったが、なかなかない機会に恵まれとても楽しかった。大学生だったせいもあるのか、とても積極的で話しが円滑に進んだ。授業で学んだことは、人が話す時あいづちをして相手の意見をきちんと聞き入れること、これが相互理解を深める第2ステップだと思った。また、リーダーシップについては、まず決断力があること、損益を考えないこと、一人ひとりの意見をまず聞くことがあげられた。なにごとも自分本位では駄目で、自分一人では、何も出来なくて、他者と共に生活しているわけだから、その人達の意見を尊重するのは当然で、リーダーシップは私達の中から自然と出てくる優しさ、良くしたい!と思う率先力から生まれるものだと思った。」(生徒の「振り返り」より)

■ “Crossing Boarders ”

9月には、デンマークのコミュニティカレッジ“Crossing Boarders”で世界の若者を集めて平和教育をされているガルバ氏による、疑似体験から多文化をどう理解していくかという授業を行いました。生徒達は授業会場に入る時、女子は靴を脱ぎ頭に白いナプキンをかぶるように指示され、部屋に入ると男子は椅子に座るように、女子は男子の椅子の間に直接床に座るように指示されました。 全員が座り終わるとバナナを食べましたが、男子はバナナを口に入れてもらい、女子は手渡しで渡されました。バナナを食べた後、男子は両脇に座っている女子の白いナプキンでカバーされている頭に手を置くように言われ、この状態で、しばらく全員が目をつぶり音楽を聞き、どこか異国の国に自分が行き、現地の人々と時間を過ごしていることを想像するように言われました。この時、全員が静かになり、緊張感があり、とても不思議な体験をしました。 その後、全員が丸くなりガルバ先生が真ん中に座り、生徒達に質問を投げかけました。「どんな国に自分がいたと思うか」、「どのような感じがしたか」、「その国の文化や価値観はどんなものだと思うか」などの問いかけがありました。生徒達は、「音楽からアフリカの文化だと思う」、「男子は椅子に座っているのに女子には椅子が用意されていないから男尊女卑だ」とか、男子からは「両脇にいる女子の頭に手を置いて、何か優越感があり不思議な感じがした」との感想がありました。 ガルバ先生は、この想定の国の文化と価値観について話をして下さいました。この国では男性よりも女性の方が尊ばれています。女性は、新しい命を生み出すことのできる母であり、大地に直に座れます。しかし男性には、免疫力がないので椅子に座らなければならず、バナナも口に入れてもらわなければ食べられません。男性は女性の頭に手を置くことによって大地からエネルギーを関節的に得ることができまるという設定だというのです。この授業を通して、他の国の人々や文化を理解しようとするとき、私達は自分のもっている文化理解や価値観によってを判断してしまうのだということを学びました。また、私達は、一方的な見方をする傾向があり、実はその国の人や文化を理解していないことがあることを知るということに気づくことが出来ました。 「まず一番思ったのは、『文化に優劣は無い』ということ。ガルバさんの授業ではそれを痛感した。また、いかに自分の知っている世界が狭いかというのも理解できた。普通なら女性差別だと思うことを女性だけの特権と見なすことという発想で自分の考え方が広まったと思う。また、世界の多くの問題を知り、自分にできることは何か、小さなことでも探していくことが大切なのだと思った。現在の世界は多くの問題を抱えているが、問題解決の前に、問題意識を持っていくことはさらに大切なのだと思う。将来、問題解決に関わり、国際理解の授業で学んだことを生かしたいと思う。」(生徒の「振り返り」より)  

■ 次回へつづく

今年度の後半の取り組みと一年間の授業の中で生徒達が何を得たかについて紹介していきたいと思います。   >>>第5回 ”Think Globally. Act Locally”