はらだ校長先生のWeblog#1

学校だより

世界は今、新型コロナウイルス感染症との戦いの只中にあります。あらためて、感染で苦しむ皆様にお見舞い申し上げますと共に、懸命に医療活動に従事されている医療関係者の皆様、検疫や行政等にたずさわる方々すべてに心から敬意と感謝を申し上げます。
さて、この感染症問題は、単なるパンデミックの心配ばかりか、人々の働き方や経済活動にまで影響を与え、社会の有り様を変える可能性があります。また、ICTの発達により、溢れる情報の中から真実を読み解くのは難しく、まことしやかなフェイクニュースによって、マスクや消毒液の不足ばかりか、生活必需品までもが店頭からなくなる事態も生じました。また、街中では偏見や差別の問題を生み、マスクをせずに咳き込んで電車を停められるようなことも起こっています。
しかし一方で、特にインターネット上で大きな感動を呼び、多くの中国の方たちを勇気づけたのは、日本の中国語検定試験事務局が送った救援物資の箱に書かれた漢詩でした。
ご存じの方も多数いらっしゃるかもしれませんが、
『山川(さんせんいきを)異域(ことにすれども)、風月(ふげつ)同天(てんをおなじゅうす)』です。
これは今から約1300年前、日本の天武天皇の孫である長屋王(ながやのおおきみ)が遣唐使に託して中国に贈ったとされる千着の袈裟に縫い付けられていた漢詩だそうです。その意味するところは『異なる場所にいても、心は互いに通じている』です。
この漢詩は中国で瞬く間に拡散し、それまで一般にはあまり知られていなかった漢詩なのに、今や中国で知らぬ人はいないものとなり、日中友好に大きく貢献しました。この漢詩を知っており、救援物資に添え書きをされた方の教養の深さに、驚きを禁じ得ません。このように、真の豊かさは、物との関係からではなく、人との関係から得られるものです。多様な人とのより建設的な関係、より肯定的な関係を築いていく中に、互いの幸福感は生まれてくるものです。そこで問われるのは、深い教養と磨かれた品性に裏打ちされた、人間的な魅力です。
私たち啓明学園は「世界を心に入れた人を育成する」という強い信念を持ち続けています。他者のために、特に貧しい人や弱い立場の人のために、自分の才能をどのように使えばいいのかをみんなが学べば、世界をより善いものに変えることができるという信念です。
君たちも、もちろん、啓明学園で学んだ者として、変革の一翼を担い世界に平和を創造することを、期待されています。今は混迷の時代ですが、だからこそ君たちの力は必要とされていますし、また活躍するべき場はたくさんあります。君たちの今後ますますの活躍を祈ります。
これから大きく成長していく初等学校の子どもたちに対しての私の願いです。
これからも、初等学校の全児童が、心身ともに健やかに、またキリストの光に照らされ、愛と希望に包まれて「光の子として歩む」ようにと願い祈りつつ、教職員一同全力で日々の教育活動に邁進してまいります。今は新型コロナウイルスの影響で、しばらく時を待たなければならない状況ですが、今後もご家庭と学校が共に協力し合い、楽しく充実した毎日を過ごしてまいりましょう。
本年度も保護者の皆様の温かいご理解とご支援をいただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


初等学校校長
初等学校校長 原田 泰宏