2023年度中高始業式


 新学期になりました
 この4月から本校ではマスクの着用は個人の判断に任せることとします。
 今から約1か月前の高校卒業式、壇上で卒業生一人一人に卒業証書を手渡しました。せめてその時だけはマスクをはずそうということで、卒業生全員がマスクを取って、壇上に上がりました。卒業証書を手渡すとき、ある生徒は小声でありがとうとつぶやき、ある生徒は緊張して唇を真一文字に結び、ある生徒はニコッと微笑んだり、まさに一人ひとり全員が異なる表情を見せてくれました。みんなとてもとてもいい顔でした。私はこれまでたくさんの卒業式に出ていますが、私の中でも一番思い出に残る卒業式でした。
 さて同志社大学の「赤ちゃん学研究センター」は、生後半年から1年半ぐらいの赤ちゃんは母親の口元を見ていると報告しています。これは乳児の言葉の発達に関係があるといわれています。お母さんの声と口の形を結び付けているのかもしれません。私たちが会話している時も、口の形から実にたくさんの種類の感情を読み取ることができます。口というのはコミュニケーションの上でとても大事なパーツだということを改めて認識しましょう。
 私たちはこの3年間、人の顔の上半分しか知りませんでした。どうでしょう。お友達の素顔を何人思い浮かべることができますか?お隣の友だちの顔はどんな顔ですか?友達の、マスク付きの顔しか知らないとか、自分の本当の顔が知られていないというのも、ちょっと寂しいなーと思うのは私だけでしょうか。あせらず、自分のペースでいいです。徐々に自分の素顔を見てもらえるといいですね。
スクはつけても外してもいいよということになったのですが、一つ、みんなに確認しておきたいことがあります。
 一つは、まだこの時期、マスクをはずす友達は少数でしょう。その少数派に、近づくなとか、危ないなどということは、仮に冗談でも言ってはいけない。こういうとすぐにあえてやろうとする者が出てくるかもしれないけど、絶対にやめてください。またそのうちマスクをしている人が少数派になる時がくるでしょう。その時にも、病気とかが理由でマスクをはずせないという人がいるということを想像してください。その人たちにも差別をするような言動は絶対にしてはいけない。
 少数派というのはどの時代でもどの社会でも差別と迫害を受けてきました。私たちはどんな時でも、社会の少数派の人々をおもんばかる心が必要です。本学園の理念である「世界を心に入れた人を育てる」の世界とは、単に外国という意味ではありません。それはもう上級生ならお分かりですね。
マスクをつける人はずす人、みな考えがあってやっていることです。その他人の考えを尊重し理解し受け入れること、それが啓明生です。
 さあ始まります。この1年、どのような目標を立てて皆さんは進みますか?ぜひひとりひとり目標を立てて、それを実行していくいい1年にしましょう。