資料請求

ニュース News

5年生「東北体験学習」

 初等学校として、3年ぶりとなる「東北体験学習」が無事に終わりました。直前まで読んでいた国語の物語文『たずねびと』は、主人公の綾が広島に出かけ、平和記念資料館の「モノ」や追悼平和祈念館の「画像」、毎日原爆供養塔にいる「被爆者のおばあさん」に出会うことを通して、変化していくものでした。「あのおばあさんが言っていたように、わたしたちがわすれないでいたら-楠木アヤちゃんが確かにこの世にいて、あの日までここで泣いたり笑ったりしていたこと、そして、ここでどんなにおそろしいことがあったかということ-をずっとわすれないでいたら、世界中のだれも、二度と同じような目にあわないですむのかもしれない。」物語の最後の部分です。状況は違いますが、東北で出会った「モノ」「コト」「人」「言葉」には、この物語と重なるものがあり、子どもたちは、たくさんのことを感じ、考えた3日間でした。

初日の訪問地、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館にて。津波の爪痕が残る高校の校舎を歩きました。

【児童感想より】
学校を見ていく中で、どんなにすごかったかが、よくわかりました。一番すごいと思ったのが、だれ一人犠牲にならなかったことです。こうして当時のことがわかる建物があることはすごいと思いました。

ご自身の自宅も被災し、勤め先の南三陸ホテル観洋が避難場所となり奮闘した後、10年以上語り部を続けていらっしゃる伊藤俊さんに出会いました。高台から海を見下ろしました。

【児童感想より】
あんなに海から遠いのに、津波がくると思わなかった。油断しているところが一番こわいんだなと思った。無知無関心も。

泊浜漁港では、漁師さんに漁船に乗せていただきました。海の深さに合わせて、養殖をしていることを学びました。

【児童感想より】
私は最初に船に乗った。潮風がふいてすごく気持ち良かった。水がかかってきそうで少しびっくりした。うみねこたちに食パンをあげた。だけど一つも食べてくれなかった。すごく良い経験になった。

『つなみのえほん ぼくのふるさと』の作者である、工藤真弓さんが、南三陸に伝統的に伝わる「きりこ」について教えてくださいました。作品作りにも挑戦しました。

【児童感想より】
工藤さんが、神社の鳥居の前で津波が止まったと言っていたことに驚きました。きりこも、すごく良くできました。

伊藤俊さんの案内で最終日も南三陸町をバスで回りました。10月初めにオープンしたばかりの、「南三陸311メモリアル」(隈研吾氏デザインの南三陸町東日本大震災伝承館)も見学することができました。

復興祈念公園の慰霊碑で、黙祷を捧げました。

【児童感想より】
坂の上に慰霊碑がありました。慰霊碑には、なくなった人の名前が刻まれているそうです。
上には、「いま碧き海に祈る 愛するあなた 安らかなれと」と書いてありました。
そこから上に向かって線がほってありました。それは、3月の日の出が出る場所を示しているそうです。

【児童感想より】
正直最初は行きたくないなと思っていたけれど、みんなで美味しいご飯を食べたり、お風呂に入ったり、一緒に寝たり、子どもたちだけで生活する時間は大人のしばりがなく伸び伸びできた。

 

素晴らしいお天気に恵まれ、大きく体調を崩す児童もなく、参加者全員で全行程をやり遂げました。たくさんの方々に支えられていたプログラムの中で、見たこと、聞いたこと、体験したことを、日常の生活やこれからの学びにつなげていきます。